父の日で父に会いに。

この家もあと数ヶ月で跡形もなく消えるんだ。

区画整理。
そりゃね、消防車も救急車も入れないような町が、いざと言うとき大変なのはよく解る。
でもねぇ。

整備されつつある新しい町並み。
まるでモデルハウスが並んでいるみたい。

古い町だから、地方から東京に移り住んできた人達より広い土地を持っている。
区画整理だから、建築費用も補助されるからちょっと贅沢して家を造れる。

『今度来たら、バス停からの道で迷うかもしれないぞ』

父の言葉は本当だった。
迷いはしなかったけど、一瞬方角さえも解らなくなった。

10月、父も退去させられる。
何年かの仮住まいの後、決められた新しい土地で、ほとんど知らないご近所さんと、新しい家で暮らし始める。

予定。

父がそれまで元気でいられるかどうか・・・・。
天国のお母さん、どうか見守って。

母がなくなって30年以上、自分の楽しみなんて二の次に私たちを育ててくれた。
これ以上頑張って生きろなんて言えない。

どうか残りの人生苦しむ事なんかないように。
それだけ、本当に、神や仏が居るのなら。
本当、頼むよ。

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