実家が無くなるって気持ちは・・・。

この春先に、父方のいとこが破算だか弁護士介入だかになると聞いていた。
いとこは私と同い年で、昔から悪戯が過ぎる男だった。
学校からの呼び出しは数回ではなく、叔母さんは大変そうだった。
私の父とは違い、厳しく恐い叔父さんの息子があんなんなっちゃって。
大丈夫か？　と、いつも心配されるほど自由に育ったうちの兄妹がこんな平穏無事なのがなんとも皮肉である。

うちの父が15年ほど前に癌になった時、親身になって助けてくれた叔父さんが、父よりも先に逝ってしまったのは3年くらい前。
家業の大工の頭領を継いだいとこは嫁も取らず、馬鹿な儲け話に騙されてしまったらしい。

そしてこのほど父の本家である土地家屋が取られ、9日に、解体された。
その土地には4軒の家が建てられるという。

叔母さんといとこは二人で、小さな木造アパートに移った。
彼は腐っても大工だ。
そのアパートが、いかに安っちい物か一目瞭然らしい。

父の兄妹一族は、末っ子の叔父に本家を委ねたのだ。
その息子が家を潰そうと、何もできない。
それでも、生まれ育った家だ。
私だって子供の頃遊んだ家だ。

夏休みには蚊帳を吊って子供達で枕投げをした。

うちには無かったベットで寝ている時、落ちたら痛いのかな？ってワザと落ちてギターに頭をぶつけ、ギターの音を悪くした。（もちろん黙ってた）

そこのお姉さんのマニキュアを悪戯して床に落としまき散らした。（もちろん黙ってた）

悪行三昧の末、家族喧嘩が勃発。
『　あんなこ、もう帰して！　』
『　お母さんが死んで可哀相な子に、お前はなにを言うか！　バシッ（平手打ち）　』
『　あなた止めて！　』
お風呂に入ってた私にも聞こえる大喧嘩。（もちろんしらんふり）

私ったら、まるで悪魔だったわ・・・。（子供だったとは言え、ごめんなさい）

そんな思い出が詰まった家。
やはり跡形もなく無くなってしまうのは淋しい。

父や父の兄妹にとっては、私以上なんだろう。
今は亡き、祖父母の思い出だってあるだろう。

私の実家がもしも無くなるとしたら、やはり言葉にならないほど、哀しい・・・。

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私は、父が一生懸命働いて手に入れたあの家を、守らなきゃ。
区画整理で壊されるのはわかっている。
だけど、形は変われど、手放すのとは違うから。

貧乏人には厳しい世の中だけど、頑張んなきゃ・・・頑張れ兄貴！（独身）

・・・人任せな私。