親愛なる友へ。
2003年4月21日前回書いたような事で、しばらくただの記録日記。
ただ一人に向けて。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
石丸に初めて会ったのは、1989年の秋頃。
場所は今は無きシアター新宿の稽古場。
私の方がちょっとだけ先に劇団に居たんだ。
ものすごい人見知りの私が、全くひるまなかった。
その日の稽古後、もう殴ってたよね。(笑)
『痛いなぁ。 何この人、初対面でしょ?(笑)』
そう。
初対面でもう手が出てた。
信じらんない。(笑)
あの日から、かけがえのない友達になった。
☆
石丸は私より1歳下。
私はすでに3度ほど舞台経験があって、そこでもちょっとだけ石丸よりお姉さんだったね。
でも初めて会った時から、お互い呼び捨てで、冗談意外で“さん”とか“ちゃん”とか、ただの一度もつけた事ないね。
『あたしのが年上なんだから呼び捨てってどうよ?』
『なんで? いいじゃん友達なんだから』
石丸の初舞台は、ほとんどジュンちゃんと私の三人のからみだった。
石丸はジュンちゃん(春子)の妹役(夏子)、私はジュンちゃんの友達役(加奈子)。
しっかり者の春子にいつもくっついてる夏子。
刑務所の看守の娘で刑務所に住んでる(笑)加奈子。
春子の友達なのに、加奈子はなぜか夏子と張り合ってるんだよね。
春子、しっかりした子供だったから。(笑)
あの芝居の成功はこの三人の小学生達の大活躍のおかげだって、飲むと話したよね。
アンケートにもそう書いてあったし。
石丸は、まだ“役者”じゃなく本当にただの素人だった。
☆
二作目では宇宙飛行士の話。
石丸は宇宙飛行士に選ばれた一般人の“息子・モーやん”。
私は宇宙にあこがれて宇宙センターの受付嬢にやっとなったのにドジでクビになっちゃう田舎娘・松江。
残念ながら全くからみなし。
この時から石丸の“男役”人生の始まり。
結局石丸が女役やったのって、3回くらい?
夏子と、私の客演に付き合ってやった“シンデレラ”の女中役(私は女中をこき使ういじわるな上のお姉さん)、あと気に入ってなかった“ウルフ”の女友達役。
ああ、あと、好きな女仲間だけでやったOPEN SESAMEの2公演。
あとはずっと可愛い少年や田舎のヤンキー、カッコイイ青年。
赤穂浪士では主税やったんだよね。
☆
私は、石丸の3作目になる“雪女郎”で、劇団を辞めた。
この時石丸は現実の世界でやくざの娘に恋して戦う好青年、私は異世界の雪女。
からみはほとんどなく、クライマックスで窮地の恋を助けに雪女が登場する。
舞台上ではこのシーンだけ一緒だった。
この時の石丸の“悟”は本当良かった。
その次の作品“リア”で、劇団は演劇祭のグランプリを取ったんだ、私が辞めた後だよ・・・。
打ち上げで、盛り上がるみんなが羨ましかった。
☆
その後、石丸はその劇団で芸を磨き、私は知り合いの劇団で客演生活。
幽霊、いじわる姉さん、ヒロインやりた〜い!(笑)
『なんであんたにシンデレラをやらせなかったんだろう? いじめられて同情を集める役ならピッタリなのに』
そうだよねぇ。
いじけたヒロインなら、私がナンバー1なのに。(笑)
それから、賞を取った後の劇団は思いもよらず、守りに入っちゃったんだよね。
石丸も嘆いてたね。
“リア”を頂点に、後は落ちるだけ。
私も、哀しかったなぁ。
悪くはないんだけど、それまでの勢いが全然なかった。
☆
起死回生の東京芸術劇場での招待公演。
グランプリの競演と銘打って、劇場をただで使わせてもらえた。
“リア”の再演。
初演時に絶賛された客演の女優を、訳あって起用できず、私に声がかかった。
『今まで一緒に頑張ってきたみんなで、この公演は楽しみたい』
そう言って、座長が呼んでくれた。
『先に言っておくけど、劇団員優先だからたいした役はあげられないかもしれないけど』
ふっふっふっ。
私には勝算があったさ。
初演の時から、“この役はあたしの方が良い”って確信してたんだから。
余裕で目的の役をゲット!
だって、本当なら初演も私がやるべき役だったんだよ、誰も気付いてないけどさ。
☆
仕込みの日。
初めて仕事をしてもらう音響サンの“わがものぶり”に萎縮する役者。
持ち前の江戸っ子気質の私は、楽屋で思わず台本を床に叩き付けて怒りをあらわにした。
家に帰るとすぐ石丸から電話。
『別に言うことはないんだけどさ、でも明日になる前に話さなきゃって。 このままで初日は迎えられないって。 あんたは悪くないよ。 音響サンだって大変だろうけど、舞台は役者が第一なんだ』
本当に、私が望んでることをしてくれる。
今回はもう自分は客演の立場なんだから、大人しくしていようって思っていたのに・・・。
だから、誰かに“間違ってない”って言って欲しかった。
あの電話がなかったら、私は舞台に上がれなかったかも。
あの電話があったから、舞台に全力を注げたんだよ。
☆
『あんたの勝ちだね』
公演後、石丸の言葉が一番嬉しかったよ。
石丸は、いつも公平だから。
嘘もよいしょもない。
私は、誰よりも石丸に褒めてもらうことが目標。
ただ一人に向けて。
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石丸に初めて会ったのは、1989年の秋頃。
場所は今は無きシアター新宿の稽古場。
私の方がちょっとだけ先に劇団に居たんだ。
ものすごい人見知りの私が、全くひるまなかった。
その日の稽古後、もう殴ってたよね。(笑)
『痛いなぁ。 何この人、初対面でしょ?(笑)』
そう。
初対面でもう手が出てた。
信じらんない。(笑)
あの日から、かけがえのない友達になった。
☆
石丸は私より1歳下。
私はすでに3度ほど舞台経験があって、そこでもちょっとだけ石丸よりお姉さんだったね。
でも初めて会った時から、お互い呼び捨てで、冗談意外で“さん”とか“ちゃん”とか、ただの一度もつけた事ないね。
『あたしのが年上なんだから呼び捨てってどうよ?』
『なんで? いいじゃん友達なんだから』
石丸の初舞台は、ほとんどジュンちゃんと私の三人のからみだった。
石丸はジュンちゃん(春子)の妹役(夏子)、私はジュンちゃんの友達役(加奈子)。
しっかり者の春子にいつもくっついてる夏子。
刑務所の看守の娘で刑務所に住んでる(笑)加奈子。
春子の友達なのに、加奈子はなぜか夏子と張り合ってるんだよね。
春子、しっかりした子供だったから。(笑)
あの芝居の成功はこの三人の小学生達の大活躍のおかげだって、飲むと話したよね。
アンケートにもそう書いてあったし。
石丸は、まだ“役者”じゃなく本当にただの素人だった。
☆
二作目では宇宙飛行士の話。
石丸は宇宙飛行士に選ばれた一般人の“息子・モーやん”。
私は宇宙にあこがれて宇宙センターの受付嬢にやっとなったのにドジでクビになっちゃう田舎娘・松江。
残念ながら全くからみなし。
この時から石丸の“男役”人生の始まり。
結局石丸が女役やったのって、3回くらい?
夏子と、私の客演に付き合ってやった“シンデレラ”の女中役(私は女中をこき使ういじわるな上のお姉さん)、あと気に入ってなかった“ウルフ”の女友達役。
ああ、あと、好きな女仲間だけでやったOPEN SESAMEの2公演。
あとはずっと可愛い少年や田舎のヤンキー、カッコイイ青年。
赤穂浪士では主税やったんだよね。
☆
私は、石丸の3作目になる“雪女郎”で、劇団を辞めた。
この時石丸は現実の世界でやくざの娘に恋して戦う好青年、私は異世界の雪女。
からみはほとんどなく、クライマックスで窮地の恋を助けに雪女が登場する。
舞台上ではこのシーンだけ一緒だった。
この時の石丸の“悟”は本当良かった。
その次の作品“リア”で、劇団は演劇祭のグランプリを取ったんだ、私が辞めた後だよ・・・。
打ち上げで、盛り上がるみんなが羨ましかった。
☆
その後、石丸はその劇団で芸を磨き、私は知り合いの劇団で客演生活。
幽霊、いじわる姉さん、ヒロインやりた〜い!(笑)
『なんであんたにシンデレラをやらせなかったんだろう? いじめられて同情を集める役ならピッタリなのに』
そうだよねぇ。
いじけたヒロインなら、私がナンバー1なのに。(笑)
それから、賞を取った後の劇団は思いもよらず、守りに入っちゃったんだよね。
石丸も嘆いてたね。
“リア”を頂点に、後は落ちるだけ。
私も、哀しかったなぁ。
悪くはないんだけど、それまでの勢いが全然なかった。
☆
起死回生の東京芸術劇場での招待公演。
グランプリの競演と銘打って、劇場をただで使わせてもらえた。
“リア”の再演。
初演時に絶賛された客演の女優を、訳あって起用できず、私に声がかかった。
『今まで一緒に頑張ってきたみんなで、この公演は楽しみたい』
そう言って、座長が呼んでくれた。
『先に言っておくけど、劇団員優先だからたいした役はあげられないかもしれないけど』
ふっふっふっ。
私には勝算があったさ。
初演の時から、“この役はあたしの方が良い”って確信してたんだから。
余裕で目的の役をゲット!
だって、本当なら初演も私がやるべき役だったんだよ、誰も気付いてないけどさ。
☆
仕込みの日。
初めて仕事をしてもらう音響サンの“わがものぶり”に萎縮する役者。
持ち前の江戸っ子気質の私は、楽屋で思わず台本を床に叩き付けて怒りをあらわにした。
家に帰るとすぐ石丸から電話。
『別に言うことはないんだけどさ、でも明日になる前に話さなきゃって。 このままで初日は迎えられないって。 あんたは悪くないよ。 音響サンだって大変だろうけど、舞台は役者が第一なんだ』
本当に、私が望んでることをしてくれる。
今回はもう自分は客演の立場なんだから、大人しくしていようって思っていたのに・・・。
だから、誰かに“間違ってない”って言って欲しかった。
あの電話がなかったら、私は舞台に上がれなかったかも。
あの電話があったから、舞台に全力を注げたんだよ。
☆
『あんたの勝ちだね』
公演後、石丸の言葉が一番嬉しかったよ。
石丸は、いつも公平だから。
嘘もよいしょもない。
私は、誰よりも石丸に褒めてもらうことが目標。
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